平成11年 同友会のある大阪の例会で報告した時、デザイナーの荒木さんが横に繋がった三角ようじが日本人に馴染まないなら丸いようじの先端を三角形に削ったらどうですか?とデザインを描いて、提案下さった。
そんなの面白い発想だが、技術的に出来ませんと返答した。その後、本部の例会委員をしている時に、例会が重要なので大阪各支部の例会委員を集めて、例会の見本のような「これが例会だ」という企画の話が出た時に、私にそれをやって欲しいと依頼があり、仕方なく引き受けた。その例会にも出ていた荒木さんが再び同じようにデザインを添えて丸いようじの先を三角形に削るという提案をして下さったが、夢みたいな話だと取り合わなかった。しかし、二度の提案でしっかり脳裏に焼き付いた。 その2か月後、大阪天満のOMMビルで医療用品の問屋の恒例の展示会があり、150社位のメーカーの一社として出展していると、大手の日用品の商社の役員が来られ、色々見た中で三角ようじが一番面白いと大変興味を示して下さった。改めて訪問すると一般の楊枝との価格差を問われ、10倍しますというと10倍では話にならないが3倍位でできるのなら、出来る分全部買いますとのこと。いいお話ですがとても無理ですと辞退した。 帰りの電車の中で、折角のいい話だがと思いめぐらしている時に、デザイナーの荒木さんの言われた丸いようじの先端を三角形に加工することを深く考えてみた。 丸いようじは長年の歴史で生産効率が行き着くところまでいっている。これを活用できれば夢ではない。丸いようじなら日本人に馴染む。この丸軸の先端を三角形に削るようじを研究するに値すると考えた。 同年、所属していた大阪同友会の10社と共に龍谷大学の産学連携部門であるRECの研究室の一室に入れてもらい、関係の先生方と親しくなった。 そのお一人の小林啓祐先生が「つまようじ資料室」にお越しになられた折に、相談した。 三角ようじのヨーロッパでの普及に対し、日本では楊枝は丸いものという固定観念が強いので日本人に馴染み易いように丸いようじの先端を三角形に加工したいがそのような問題に取り組んで下さる先生はおられますか?とお尋ねした。 先生は学内には色々な能力をもった先生方がおられるので探してみますとのこと。 約一ケ月後、先生から電話があり見つかりましたとのこと。 紹介されたのが長谷川勝美先生でした。先生から長文のFAXが届き、難しい計算式が載っていて最後に一日に50万本は可能ですとあった。 この先生はナイロン糸の巻き取り装置では世界的な権威者と後で分かった。又小林先生は セラミックスの第一人者と知り、お二人ともとても気さくで偉そうにみえないが実は凄い先生方だと知らされ驚いた。 最初に来て下さった時に、「従来のつまようじの先を削る機械を見せて下さいませんか?
もし、私のイメージした通りであれば、この計画は完成します。もし違っておれば、断念して下さい。」と話されたので恐る恐る使っている削り機を見てもらうと私の想像通りでした。