昭和26年
1月26日 文化楊枝バラ 1,793貫 180円 322,790円
〃 同上 箱代 520個 10円 5,200円
2月6日 剥き板 3寸4分幅(生) 165貫 130円 21,450円
3月11日 文化楊枝5ポンド 30個 900貫 180円 162,000円
〃 同上 木箱賃 30個 580円 17,400円
〃 ボール箱 1,500個 14円 21,000円
〃 紙ひも 500円
注)1.文化楊枝は平楊枝のこと。 5ポンドは輸出用バラ売り用で1箱に5ポンド= 2,27Kgを入れ、10箱を輸出用木箱に入れた。
2.角妻はマッチの軸のように四角で先端は刻み機械で尖っている。
3.羽衣は角楊枝の一面を火で焦がし、黒文字楊枝に似せた楊枝である。 戦争で成人の多くを失い、黒文字の木を伐りだす人がなく困った時にその代用品 として稲葉由太郎が白樺を使い考案した楊枝である。黒文字の木から抽出した香 油を製品に振りかけたりした。外観は良く似ている。(写真参照)
4.ピックはフラワ-ピックの略でアメリカでは造花をこれに付け開店時の花輪を飾るのである。初期はピックのみを輸出したが後には細い針金を巻きつけ主にアメリカへ輸出した。長さが6、4、3インチ(15、10、7.5センチ)で先端は尖り、ピック上部には針金を巻けるように少し刻みが入れてある。(写真参照)
5.剥き板は白樺をかつら剥きした板でこれから丸いヒゴ状の軸を作った。
これは日本の独自技術であり、材料を効率的に利用できるので、欧米に比べ細い原木を多く使用せざるを得ない状況に適した製法であった。更に生産性に於いても優れた方法であったため長期にわたり輸出競争力を持ち得たのである。
一方、アメリカやイタリアはマッチの製造業者が楊枝を作り始めたので、四角なマッチの軸状にしたものを磨きあげる要領で丸いようじを作ったのでコストが高くなったのである。
6.アイスクリ-ム匙や舌押えは平楊枝を作る打ち抜き機械の応用で薄い板状の板を各々の形の刃物で打ち抜いたのである。この製法は今も広く使われている。舌押えとは木製のキャンデ-スティック を大きくしたもので、耳鼻咽喉科で喉の奥を見る時、舌を押さえるために使われる。我が国では金属製が一般的であるが海外では木製で使い捨てされるのである。
(写真参照)最近は日本でも木製が多く見られるようになってきた。
7.木箱の価格の違いは500円のものは輸出用で大きく、丈夫に出来ているためで50円のものは内地輸送用のため小さく、安いのである。
昭和29年、広栄社内での作業画像